東京高等裁判所 昭和55年(う)1080号 判決
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【説明】本判決は、罰金を併科した場合は、その換刑処分として三年以下の期間労役場に留置し得る旨規定している刑法一八条三項において、右罰金の併科とは、同法四八条二項の適用により一個の罰金刑を科す場合のことではなく、併合罪でありながら同条項の適用がないため数個の罰金刑を科する場合、及び、確定判決の介在により併合罪関係がないため各罪別に数個の罰金刑を科する場合を指称するものと解すべきである旨判示したもので、同旨の判例としては、福岡高判昭33.3.25(裁判特報五巻三号九九頁)、名古屋高判昭40.11.30(下刑集七巻一一号二〇三四頁)があり、これらの判例に対し特に異論を示す学説は見当らない。
【判旨】
各所論はいずれも、要するに、原判決は、被告人に対し二年を超える期間の労役場留置を言い渡した点において法令の適用を誤つたものである、というのである。
そこで検討してみるのに、原判決は、判示第五及び第七の各営利目的での覚せい剤輸入罪についてそれぞれ有期懲役刑及び罰金刑を選択し、刑法四五条前段の併合罪である右両罪の罰金について同法四八条二項により各罪所定の罰金額を合算し、その金額の範囲内で被告人を罰金五〇〇万円に処し、同法一八条によりその換刑処分として五〇〇〇円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する旨言い渡し、その労役場留置期間が約二年九月となるように定めたことが明らかである。ところで、刑法一八条三項によれば、罰金を併科した場合においては、三年以下の期間労役場に留置することができる旨明定されているが、右条項にいわゆる罰金の併科というのは、同法四八条二項の適用により一個の罰金刑を科する場合のことではなく、併合罪でありながら同条項の適用がないため数個の罰金刑を科する場合及び確定裁判の介在により併合罪関係がないため各罪別に数個の罰金刑を科する場合を指称するものと解すべきであるから、本件は同法一八条三項の「罰金ヲ併科シタル場合」に該当しないことが明白である。そうだとすると、本件において被告人を労役場に留置できる期間は、刑法一八条一項により二年以下であり、換刑処分の換算率もそのように定めなければならないのに、原判決が前記のような換刑処分を言い渡したのは、法令の適用を誤つたものであり、その誤りが判決に影響を及ぼすことが明らかである。論旨は理由がある。
(堀江一夫 杉山英己 浜井一夫)